HRD検査とは

相同組換え修復欠損(HRD)とは

DNAは日常的に紫外線や化学物質によってダメージを受けており、ダメージを受けた異常なDNAが増えると細胞は死に至ります。
正常な細胞では、DNAを修復するシステム(相同組換え修復)がはたらきますが、がん細胞では、こうした修復システムがうまくはたらかないこと(相同組換え修復欠損:HRD)があります。HRDがあるかどうかは遺伝子検査で調べることが可能です。
海外の研究では、卵巣がん患者さん(漿液性がん)の約50%にHRDがある(陽性)と報告されています1)

HRD検査の必要性

近年、卵巣がんではHRDがある場合に効果が期待できる薬剤(製品名:ゼジューラ)が登場しました。卵巣がんの治療法やゼジューラによって期待される効果について主治医から説明を受け、事前にHRD検査を行うことで、この薬剤が適しているかどうかを判定した上で投与することができます。
ゼジューラによる治療を受けるためには、HRD検査が必要です。
なお、ゼジューラの効果が期待できるのは、プラチナ製剤と呼ばれる薬剤で効果が得られた、HRDのある再発卵巣がん患者さんです。

※臨床試験では3つまたは4つの化学療法歴のある患者さんを対象としていました。

HRD検査と遺伝

HRD検査には、手術で摘出した腫瘍組織を使用します。通常、検査の結果が分かるまでに3週間程度かかります。
HRDとなる要因には、遺伝が関係している場合と、そうでない場合があります。遺伝が関係しているかどうかは、ご自身だけでなく家族(血縁者)にもかかわる情報です。
HRD検査の結果は大切な個人情報ですから、ご本人の許可なく第三者に伝わることは決してありません。
遺伝が病気に関係すると聞くと、不安を感じる方も少なくないと思います。そうした遺伝と病気の関係について不安や悩みがあるときは、「遺伝カウンセリング」という体制によるサポートを受けることができます。

1) TCGA Research Network. Nature 2011;474:609-615